フォーム作成ツールのセキュリティ対策が重要な理由
フォーム作成ツールは、個人情報や社内情報が集まる入り口です。漏えいが起きると、信用低下や対応コストにつながります。まずは想定されるリスクと、対策が必要な理由を押さえましょう。
情報漏えいリスクの理解
フォームには氏名や住所、電話番号などの個人情報が入力されます。これらが第三者に渡ると、問い合わせ対応や再発防止に加え、取引先説明などの負担が増えます。
国内では「個人情報の保護に関する法律」に基づき、個人データの安全管理措置が求められます。フォーム運用は、その一部として「収集から保管、削除まで」を管理する必要があります。
参考:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)|個人情報保護委員会
参考:個人情報の保護に関する法律|e-Gov 法令検索
不正アクセス対策の必要性
外部からの不正アクセスで管理画面が突破されると、フォーム内容の改ざんやデータの持ち出しが起きる恐れがあります。弱いパスワードや共有アカウントは、攻撃者に狙われやすい要因です。
「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」は、不正な侵入などを禁じています。ただし、法令があっても自社の防御が自動で強くなるわけではありません。
技術的には多要素認証やアクセス制限を使い、組織的には認証情報の管理ルールや棚卸しを行うことが現実的です。
参考:不正アクセス行為の禁止等に関する法律|e-Gov 法令検索
内部統制強化の重要性
フォームの設定変更やデータ閲覧は、内部不正や誤操作のリスクも伴います。権限が広い状態が続くと、気付かないうちに情報へアクセスできる人が増えてしまいます。
統制の考え方として、情報セキュリティ管理の国際規格である「ISO/IEC 27001」、監査報告として用いられる「SOC 2」の考え方が参考になります。どちらも、技術だけでなく運用の仕組みを含めて整える点が特徴です。
参考:ISO/IEC 27001(情報セキュリティ)概要|日本品質保証機構(JQA)
参考:SOC 2® - SOC for Service Organizations: Trust Services Criteria|AICPA
フォーム作成ツールに搭載される主なセキュリティ機能
フォーム作成ツールには、データを守るための機能が用意されています。ここでは、代表的な技術的対策を整理し、どのリスクに効くのかを分かりやすく説明します。
通信の暗号化
通信の暗号化は、入力された内容をインターネット上で読み取られにくくする仕組みです。現在はTLSという方式で暗号化された通信が一般的で、URLがHTTPSで始まる状態が目安になります。
暗号化されていないと、通信経路で内容を盗み見られる恐れがあります。暗号化が有効でも、証明書の期限切れや設定ミスがあると警告が出ることがあります。
運用では、常時HTTPS化の有無や証明書の更新方法、サブドメインを含む範囲を確認しておくと安心です。
アクセス制御機能
アクセス制御は、誰がどの操作までできるかを制限する機能です。管理者や編集者、閲覧者などの役割を分け、必要な作業だけができる状態を作ります。
技術的対策としては、役割ごとの権限設定や、閲覧できるフォーム・データ範囲の制限が挙げられます。不要な権限を外すことで、事故の範囲を小さくできます。
組織的対策としては、最小権限の原則を規程に落とし込み、異動や退職のタイミングで見直す手順を決めます。
IPアドレス制限
IPアドレス制限は、特定のネットワークからのみ管理画面へ入れるようにする仕組みです。社内ネットワークに限定できる場合、第三者の侵入リスクを下げられます。
在宅勤務や出先での利用があると、例外が増えて運用が複雑になります。安全な接続方法とセットで設計することが重要です。
運用では、許可するIPの申請フローや変更履歴、例外の期限を定め、形骸化しないように管理します。
多要素認証
多要素認証は、パスワードに加えて別の確認手段を組み合わせる方法です。認証アプリのコードや、端末への通知などが代表例です。
パスワードが漏えいしても、追加の確認が必要になるため不正ログインを防ぎやすくなります。特に管理者アカウントは優先度が高いポイントです。
運用では、管理者への必須化や予備コードの保管方法、端末紛失時の復旧手順まで決めておくと混乱を減らせます。
ログ管理機能
ログ管理は、誰がいつ何をしたかを記録する機能です。トラブルが起きた時に原因を追えるため、監査や不正検知にも役立ちます。
技術的対策としては、操作ログの取得範囲や長期保管、外部への出力、改ざんしにくい保存方法が重要です。組織的対策としては、定期確認の頻度と担当、異常時の連絡経路、確認結果の記録ルールを整えます。
以下の記事ではフォーム作成ツールの価格や機能、サポート体制などを、具体的に比較して紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
フォーム作成ツールの安全な運用管理のポイント
機能がそろっていても、運用が不十分だとリスクは残ります。ここでは、実務担当者が日々の運用で迷いやすい点を中心に、管理のコツを整理します。
権限ルールの整備
権限は、業務で必要な範囲に限定することが基本です。管理者を増やしすぎると、設定変更の責任が曖昧になり、事故が起きた際の追跡も難しくなります。
組織的には、役割ごとの権限表や付与と剥奪の申請ルート、退職時の即時停止手順を規程化します。技術的には、共有アカウントを避け、個人ごとのアカウントと多要素認証を前提に設計するのが現実的です。
データ保存期間の管理
フォームで得た情報は、目的が達成されたら必要以上に保管しない方が安全です。長く残すほど、漏えい時の影響が大きくなりがちです。
組織的には、保存期間の基準や削除の実施者、削除記録の残し方を決めます。問い合わせ種別で期間が変わる場合は分類ルールも必要です。技術的には、自動削除の設定やエクスポート制限など、ツール側でできる範囲を把握して設計します。
バックアップ体制
障害や誤削除に備え、バックアップの考え方を整理しましょう。クラウドでは事業者が冗長化していても、利用企業側の復旧要件と一致しないことがあります。
技術的には、バックアップ頻度や保存世代、復元手順、復元にかかる時間の目安を確認します。復元テストをしないと、いざという時に復元できないことがあるためです。
組織的には、復旧の優先順位や連絡体制、代替運用の手順書を整え、担当不在でも動ける形にします。
定期的な監査の実施
定期監査は、設定や運用がいつの間にか緩んでいないかを見つけるために有効です。権限の棚卸し、ログ確認の実施状況、保存期間の順守などを点検します。
組織的には、チェック項目と記録様式を決め、改善を次の運用へ反映させます。重要な指摘は是正計画として残すと継続性が出ます。技術的には、監査に必要なログの取得範囲や出力方法を事前に確認し、必要な証跡が取れる状態にします。
フォーム作成ツール導入前に確認すべき項目
製品選定では、セキュリティ機能だけでなく、運用や契約面も含めた確認が必要です。比較の観点を持って各社の情報を収集し、回答内容をそろえて判断しましょう。
個人情報保護対応
個人情報の取扱い方針が明確か、委託先としての責任範囲が契約で確認できるかを見ます。漏えい時の報告フローや連絡窓口の有無も重要です。
組織的には、利用目的の管理や削除依頼への対応、社内の問い合わせ窓口整備を想定します。技術的には、暗号化やアクセス制御、ログ取得などの基本機能が要件を満たすかを確認します。
サーバ管理体制
データセンターの管理体制や、保守監視の範囲を確認しましょう。障害時の連絡方法や、復旧までの目標時間、保守時間帯なども運用に影響します。
第三者認証や監査報告の有無は、比較材料の一つです。取得している場合でも、適用範囲がどこまでかを確認しておくと齟齬を減らせます。
クラウド運用体制
クラウドでは、事業者が守る範囲と利用企業が守る範囲が分かれます。例えば、サービスの基盤は事業者でも、権限設計やアカウント管理は利用企業側というケースが一般的です。
組織的には、アカウント発行や権限レビュー、ログ確認、教育などの責任分担を明確にします。技術的には、管理者保護の設定やIP制限、多要素認証、監査ログの取得が運用要件に合うかを確認しましょう。
まとめ
フォーム作成ツールのセキュリティは、暗号化やアクセス制御などの技術的対策と、規程整備や教育などの組織的対策を組み合わせて高めます。個人情報の保護に関する法律やISO/IEC 27001、SOC 2などの考え方を踏まえ、権限設計とログ運用を継続的に見直すことが大切です。
導入検討では比較の観点をそろえ、各社の情報を資料請求で確認しながら、自社に合う運用体制を整えていきましょう。


